キミのとなり。
――10月



季節は秋。



朝から美容院を予約し、髪をセット。



着慣れないシャンパンゴールドのワンピースに黒のストールを羽織って、約束の時間に家を出た。



そう、今日10月5日は弘人の結婚式。



駅に着くと、若菜ちゃんが大きく手を振っているのが見えた。



息を切らせて走り寄る。



「ハァハァ…ごっごめ!」


「遅いですよ~先輩!次の電車逃したら遅刻でしたよ!」



「ヒールが歩きにくくってさぁ…」



下手な言い訳をしつつ、ホームへ移る。



隣をよく見ると、フリルが山ほど付いたピンクのワンピースに黒のラビットファーを首に巻いている。



髪はクルクルと巻き上げ、肌はラメがかってなぜか、気合い充分……。



「今日こそいい男ゲットしますよ先輩!披露宴は、ある種の合コンですからね!」



どの種……?



やっぱりそういうノリね。


式場に着くと、早速参列客をチェックし出す若菜ちゃん。



「あぁーあの水玉のネクタイの人、よくありません?あっ、でもあのエンジ色のネクタイの人も素敵~!」


勝手に言ってろ…。



それにしても、すごい人数だなぁ~。



辺りをちらちらと見渡す。


あっ、弘人の妹だ。



確か、一回だけ見たことあるんだよね。



相変わらず顔ちっちゃくてモデルみたいに細いな…。



更に見渡すと、いつも会社で見掛ける顔がずらっと並んでいる。



あっ…開発部の部長だ。



確か、祝辞を務めるんだよね。話し長そー。



そうこうしている間に、時間になり私達は係の人の案内でチャペルへ移動した。


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