キミのとなり。
退場の時、やっと私と目を合わせた弘人。



緊張も解けたようで、いつも通りにっこり微笑んだ。


“おめでとっ!”



口パクでそう投げ掛けると弘人は更に嬉しそうに微笑んだ。



大好きだった笑顔……



よかったね、弘人。



幸せになってよね。


30分後、私達はチャペルから披露宴会場へ場所を移した。



「先輩、ココココ!」



円形のテーブルが並ぶ会場の中を小走りで駆け抜け、いち早く座席を見つけた若菜ちゃん。



「イケメンいないかなぁ」


まだ言ってるし…。



8人テーブルの一番二人の顔がよく見える席に私と若菜ちゃんの名札が置かれていた。



弘人なりの心くばりが、嬉しかった。



しばらくして、司会者の合図で会場の照明が落とされ一斉に静まり返る。



後ろの扉にスポットライトが当てられ、ゆっくり開いた扉の中から新郎新婦が一礼して入って来た。



二人を祝福する拍手が一斉に沸き起こる。



二人はこぼれんばかりの笑顔で見つめ合っている。



本当に幸せそう…。



人間って、幸せな時あんな笑顔するんだな。



私はどうかな。



うまく笑えてるのかな…。


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