キミのとなり。
“パチ……パチッ…”



《パチパチパチパチ……》



鳴り止まない拍手を残して、


仁は去って行った。



会場はまだ興奮冷めやまない。



若菜ちゃんも隣でフォークを握ったまま放心状態だった。



《えーそれでは、これより…》



“ガタッ”



「せん…ぱい?」



私は悩んだ揚句、立ち上がると仁の後を追い掛けて会場を出た。



“カツカツカツカツ…”



走りにくいヒールで必死に走った。



どこっ…



そして、長い廊下の先にその後ろ姿をみつけた。



「…仁っ!」



去って行くその背中を必死に呼び止める。



仁は立ち止まりゆっくり振り返った。



「ハァハァ…なっなんで……こんな事。」



私は100M走を一気に駆け抜けた後のように、激しく呼吸を乱してそう言った。



「……。」



仁は片手にギターを持ちながら、ただ俯き黙っている。



「仁っ…」



「戻んなくていいのか、式。」



やっと口を開けた。



久々に聞く無愛想な声。



悔しいけど、その声にさえ引き寄せられてしまう。



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