キミのとなり。
「おっおい、そりゃ大変じゃないか!大丈夫か!?」


って、信じてるし…



「あっ大丈夫っす!俺責任持って送ってきます!あっついでに隔離しておきます、隔離!!」



「…おっおぉ頼んだぞ。」


私の手を引いたまま小走りになる



「おい桜井!」



ドキッ…



部長の声に、恐る恐る振り返る。



「お前、少し看病してきてやれ。」



「えっ……。あっ、うっす!!」



結局、バレバレの嘘はばれる事もなく私たちは無事タクシーに乗り込んだ。



「インフルエンザはないでしょ……。」



「うるさいなぁ…ばれへんかったんやからいいやん!」



「しかも妹なんていないし……。」



「ええねん、俺レベルにもなればなんでもアリなの!」


どんなレベルだ…。



「……おかげで本当に気分悪くなってきたよ。」



寝不足続きのせいか、視界がぼやけだす。



「寝ててええで。」



そう言って、桜井君は私の頭を自分の肩にもたれさせた。



ドキッ…



最近、妙に桜井君が大人びて見える。



私はそのまま眠りにつこうと目を閉じた。



“わかっててください、先輩の中の余計なプライドの為に、幸せになれない二人がいること…”



目を閉じると脳裏に浮かぶ若菜ちゃんの言葉。



私は、どうしたらいい?



タクシーはマンションの下でゆっくり停車した。



お金を払い終えた桜井君が先に降りて私に手を差し延べた。



遠慮がちにそれに掴まり、タクシーを降りた。



「鍵貸して?」



そう言われ、桜井君に鍵を渡しドアを開けてもらう。


部屋に入ると、そのままベッドに腰掛けた。

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