キミのとなり。
「……えっ」



顔を背けて泣いている私を見た彼は、言葉を失った。


「……辛いよぉ。」



感情のままに言葉を並べた。



感情のままに……



「どっ…したん?どっか痛い!?」



桜井君は私の頭を撫でてそう言った。



「やっぱしんどいんやろ!」


首を横に振る。



「どこが痛い!?あっなんか薬買ってこよか!」



立ち上がろうとした桜井君の腕を夢中で掴んだ。



「……。」



桜井君は驚いて動きを止め私を振り返る。



「ん!?どうしたん?大丈夫やで、すぐ戻っ…」



「お願い、優しく……しないで。」



「え?」



「…桜井君に優しくされればされる程、私……辛くなる。」




桜井君は行くのを止めて、恐る恐るベッドに腰掛けた。



「何……?」



彼の目を見るのが怖かった。



だけど…反らしちゃいけない。



現実から目を。



「……ごめんなさい。」



ベッドに身を埋めたまま、まっすぐ桜井君の目を見てそう告げた。



「何が?」



「……私、やっぱり」



“仁が忘れられない。”



そう言いかけた時――



桜井君が私にキスをした。


 ………っ!



ゆっくり離れる唇。



驚いて言葉を忘れた。



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