キミのとなり。
「言わせへんで、それ以上。」



え……



「1%でも望みがあるなら、俺は諦めへんで。」



桜井君…



「でも、辛いの。桜井君といると罪悪感でいっぱいになるの。」



「ええよ別に。罪悪感なんて感じる必要ない、俺がそれでもいいって言うてるんやから。」



桜井君の真っすぐで深い愛にまた涙が出た。



「私がダメなんだ…」



「…え?」



「……仁じゃなきゃ、ダメなんだ。」



素直な想いだった。



「仁に隣に居てほしくて……やっぱり、好きだから。桜井君が私を思ってくれているのと同じくらい……うううん、きっとそれ以上に私、仁を想ってる。」




言ってしまった。



胸の内にずっと隠して来た気持ちを……



だけど、これでいい。



もう、偽って生きていくのが苦しくて……



全てを失っても自分に正直に生きたいから。



桜井君の腕が力無く下へ落ちた。



「なんで言うねん。」



「…え。」



「そんなんわかってるわ。先輩が俺とおっても仁の事考えてるのもわかってたし、……けど。」



桜井君が泣いている―…。



「自分の中で必死にごまかしてきたのに……言葉で聞いたらもうごまかされへんやん。」



「桜井君……」



桜井君は私に背を向けた。



< 417 / 554 >

この作品をシェア

pagetop