キミのとなり。
思わず仁の顔を見ると、奴も私を横目で眺めている。


「……なっなによっ!?」


「それはこっちのセリフだろ……こんなとこまで。なんか用?」



なっなんか一々突っ掛かるのよねっ…。



「あっあのね!子猫がまたうちに…」



そう言いかけた時――


『ジン!そろそろ出番だぞ。』


廊下の奥から誰かが声をかけた。


バンドのメンバーだろう。


「わぁった!」



あいつはそう答えて、行こうとした。



「あっ仁!」


 ………

 ………


 あッ…!



無意識に名前を呼んでいた。



あいつは驚いた様子で振り返り私を見ている。



「……あっいや、その。」


キャー、どうしよう。


呼び捨てちゃった!


慌てる私に仁は至って冷静に返した。


「帰ったら猫、もらいにいく。」


そして仁は、ステージへ出ていった。



はっ…


恥ずかしいぃ!!


『仁』って呼んじゃったよ・・・。



自分の予想外の発言に顔から火が出そうだった。



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