キミのとなり。
ロミオ&ジュリエット
――火曜日



人目に付きにくいあるバーで、ケンチャンがやってくるのを待った。



“ガチャッ”



カウンターでカクテルを飲んでいると店の扉が開く音がした。



目を向けると、グレーのハンチング帽を目深に被り白いコートを来たケンチャンが笑顔で近づいてくるのが見えた。




「ごめんねー、待った?」


“ドキッ”



思わず、直立不同になる。



「いっいえ!私も今来たとこだからっ。」



「そっか!よかった~。あっマスター俺ジントニックね!」



そう言って私の真横に腰掛けた。



ケンチャンがコートを脱いだ瞬間、いい匂いがした。


「何やってんの?座りなよ。」



「えっ…あ、はいっ。」



硬直したまま席に着いた。



マスターが出来上がったジントニックをケンチャンに差し出す。



私は、緊張のあまりガチガチの手でグラスに手をのばした。



やっぱり、芸能人だ。



オーラがある…



ケンチャンは本当に昔と変わらないかわいい笑顔をする。



背だってそんなに高くないし、細い体なのに、伸ばした腕は逞しくて……



若菜ちゃんが好きになった理由がわからなくもなかった。





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