キミのとなり。
グラスを置いて首を横に振った。



「千秋ちゃんにはもう新しい男がいる事は知ってるんだけど、……本音を聞いてみたくて。」



「………。」



「仁には、余計なまねすんなよって釘を刺されたんだけど……どうしても納得いかなくて。俺らのせいで二人が離れ離れなんて……なんか嫌じゃん。」



「ケンチャンたちのせいじゃないよっ。」




「でも、佐田さんに言われた事とか気にしてただろ?自分が邪魔してるって思って身を引いたんだろ?」



「……それは、」



「もし、まだ少しでもあいつを想う気持ちがあるんなら……戻ってやってくんないかな?」




テーブルにグラスを置いて、真剣な目付きでそう言った。



「それとも、……やっぱ今の彼氏が好き?」



「……ケンチャン。」



「ん?」



「私ね、別れたんだ……、彼氏と。」



「えっ!?」



ケンチャンの動きが止まり、次第に顔が緩み出す。



「じっ、じゃーもしかして千秋ちゃんもっ……」



「……私っ」



自分の素直な気持ちを言いかけた時―…



隣の席に座っていたカップルが声を上げた。



《えっージンってそうなの~!?》



仁…?



思わず二人で隣を覗き込んだ。



なにやら手には雑誌を持っている。



“ガタッ!”



隣にいたケンチャンが立ち上がり、そのカップルの間に入って行った。



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