キミのとなり。
「お久しぶりねぇ。」



きっきたっ!!



この声だ…



“ガタッ”



勢いよく立ち上がり頭を下げた。



「ごっご無沙汰してます!」


「………。」




ノーリアクション…



不穏な空気が漂う中、椅子を引いて佐田さんは正面に腰掛けた。



遅れて、ゆっくり腰掛ける。



「コーヒー。」



真横に立つ店員にただ一言そう告げた。




そして、ゆっくりサングラスを外すと黒いアイライナーの利いた鋭い目があらわになった。



ビクッ…



「すっすいませーん!私もコーヒー!」


沈黙に耐え兼ねて店員に手を上げた。



「はぁい。」



愛想のいい店員が遠くからそう返事をする。



「あら、まだ頼んでなかったの。さっき頼めばよかったのに……」



「……。」



ってゆーか、あんたを待ってたんだっつーの!!



相変わらず感じわるっ。


しばらくしてコーヒーがふたつ運ばれてきた。



ガチガチの手でスプーンを掻き混ぜる私とは反対に、落ち着いている佐田さん。



なかなか本題に入ろうとしない。



それが、逆に恐かった。



自分から切り出す勇気もなく、黙ってコーヒーを飲み続けた。



すると、しばらくしてやっと佐田さんは口を開いた。


「わかってるわよね?」



「はっ…はいっ?」



「なんで呼び出されたのか。」



「……えぇ、まぁ。」



まるで、職員室に呼び出された生徒の気分だった…



佐田さんは、ゆっくり一口コーヒーを飲むとこう続けた。



「週刊誌の事も知ってるわよね?」



「……はい。」



“ガチャン”



ビクッ!!



次の瞬間佐田さんは、カップソーサーに強くコーヒーをたたき付けるように置いた。



「納得がいくように説明してほしいわ!どういう事なのか!」




こっ怖い…



ひっ怯むな、私。
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