キミのとなり。
泣いている私を見た佐田さんは、吸いかけの煙草を灰皿に押し付けると深い溜息をついた。



「ハァー……」



そして、鞄にライターをしまいながらこう言った。



「揃いも揃って……、同じ事言わないでよっ。」



え―…?



「もううんざりだわ!」



“バンッ!”



声を荒げてそう言うと、立ち上がりテーブルに1000円札をたたき付けた。



「あっあの……」



「二週間後、マイクロシティの3周年を記念したライブがあるの。」



「え…?」



私に背を向けたままそう言った。



「あなたも来るといいわ。」



それだけ言い残し、鞄から取り出だしたサングラスをかけて、佐田さんは去って行った。



ライブ…?



どうして私に……



緊張のあまりピンとなっていた背筋が解れた。



ってか……



怖かったぁー。



今更冷や汗が出て来た。



グラスの水をもう一度ググッと飲み干し、落ち着きを取り戻した。



と…とにかく逃げずに向き合えてよかった。



少しは前進したよね。



あぁ、仁に会いたい。



土下座してくれたなんて…



仁も必死に考えてくれてるんだよね。



私も頑張らなきゃ。



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