キミのとなり。
「私は……、私は、引きません。」



佐田さんは眉間にしわを作りながら私の顔を覗き込んだ。



「なんですって?」



「私が仁を諦めるのは、仁が私を嫌いになった時だけです。」



強い口調でそう言うと、佐田さんは言葉を失い私を睨み付けた。



「失礼します。」



深く頭を下げ、その場から走り去った。



「えっ……あっ……しっ失礼します!」



それに続くように若菜ちゃんは慌てて頭を下げ私の後を追った。



階段を降りる足が震えている。



あんな強気な事言っておきながら、怖くて怖くて…。


「せんぱーい!!」



息を切らせながら若菜ちゃんが走って来た。




「超かっこよかったですぅ~。感動しちゃいました!」



「そっ…そう?」




私、とんでもない事言っちゃった…



今更、現実味を帯びてきて背筋がゾクッとしてきた。



でっでも!



いいんだ、これで!!



私は待つことしかできないけど、



仁を信じてる。




全てを敵に回しても、仁といたいという気持ちは



消えないから……。



< 462 / 554 >

この作品をシェア

pagetop