キミのとなり。
お昼休憩を利用して仁に連絡する為、屋上へ上がった。



携帯を握り締めたまま前後左右を入念にチェック。



誰もいない事を確認してリダイヤルボタンを押した。


“トゥルルル…トゥルルル…”



んーでないな。仕事中かな…



メールにするかっ。




そう思った時、切り掛けた電話の向こうから仁の声がした。



《もしもし》




慌てて耳に当てる。



「あっもしもしっ?」




《あ?》



……“あ?”って…



不機嫌だなー相変わらず。


「あっあのさ、待ち合わせ場所なんだけどやっぱ違う場所にしない?」



《なんで。》



「なんかさっうちの会社にもマスコミが来てたらしいんだ。」



《はぁ?マジかよ。》



「うん、だからマズイかなーって……」




《そっか…。》



仁はしばらく考え込んでこう言った。




《Secret PLACE覚えてるか?昔、俺達がたまり場にしてたバー。》



「Secret PLACE?……あぁ!一度行った事あるよね!」


確か、ケンチャンに教えてもらって行ったんだ。



仁と再会した場所。



《あそこに8時でどうだ?》



「うん、わかった!」



《じゃーな。》



「うん!じゃー」




私達はあのバーで会う約束をして電話を切った。



Secret PLACEかぁー…



懐かしいな。


あれ以来行ってないなぁ。


『ちょっと軽率なんじゃねーの?』



突然背後から声がした。

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