キミのとなり。
慌てて振り返ると、煙草をくえた弘人がこちらを見ていた。



「なぁんだ~弘人か!驚かさないでよ。」



「ハハッ…」



弘人はゆっくりベンチに腰掛ける。



「読んだぞ週刊誌。」



「あー…うん。」



「なんか…悪いことしたなっ、俺らの式で歌ったばっかりにさ……」


弘人は今回の記事が自分たちのせいだと責任を感じていた。



「あっ気にしないでよね!それに……あの事がなかったら…今も私達は何もかわらないままだったんだから。」



弘人は驚いた顔で横にいる私の顔を覗き込んだ。



「えっ……じゃー、もしかして……」



「うん、あの後ね仁が記事の事心配して私のマンションまで来てくれて……押さえてた気持ち、ちゃんと伝えようって思ったんだ。」



「そっ…そうか!いやっーあの桜井ってやつと別れたらしいってのは噂で聞いてたけど…そういう事だったのか!」



「……うん。」



照れ臭くて俯いた。



「そっかそっか!よかったなぁ~!」



弘人はバシバシと私の背中を嬉しそうに何度も叩いた。



「…痛っ痛いよぉ。」



「おっあぁーいや、悪い悪いハハッ!」



すると突然弘人は思い出したかのようにポケットに手を入れた



「あっそうそう、コレやるよ!」



そう言って小さなお守りのような物を出した。



「嫁さんが妊娠してな。」


ふぅーん、にんっ…



「えぇ!?にっ妊娠って先月結婚したばっかじゃん!」



「そーなんだよ。この前、病院行ったら2ヵ月だって…よくよく考えたら、式挙げた日の夜できたんじゃないかなーってなっ!」



ポリポリと頭を掻く弘人。


度肝を抜かれた。



弘人がパパって…



あっ有り得ない……。



驚き過ぎておめでとうを言うのさえ忘れていた。




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