キミのとなり。

出会わなければよかったの・・・？

――午後11時30分



タクシーは病院の正面玄関に停止した。




―えっ…なにこれ！？



タクシーを下りてすぐ、私の目に飛び込んできたのはカメラを抱えた大勢の報道陣の姿だった。



《マイクロシティのジンさんが事故に遭ってこちらの病院に搬送されたとお聞きしましたが本当ですか！？》


《ジンの容態は！？》



《意識はあるんですか！？》



入口玄関に押し寄せる報道陣を数人の看護士や警備員が必死に押さえ込んでいる。



《詳しい事は話せる状況ではありません！後日会見が開かれるそうなのでそちらでお願いします！》



《こちらにジンはいるんですね！？》



《こちらからお話できる事は一切ありません、他の患者さんの迷惑になりますのでお引取ください！》



どっどうしよ…


こんな状態じゃ、中に入れないよ…。



その時――



『千秋ちゃん！』



病院の裏口の方から小声で私を呼ぶ声がした。



手招きしていたのはケンチャンだった。



私は報道陣に気付かれないように早足でケンチャンに走り寄った。