キミのとなり。
「あの…、今っ」



「よくも“のこのこ”と、こんな所まで入ってこれたものねっ!」



ケンチャンの言葉を遮って、佐田さんの怒りに震える低音の声が廊下に響いた。



「…あっいや違うんだ。俺が千秋ちゃんを…」



「ケンは黙って!」


「……。」



佐田さんはただ私だけを見下ろして続けた。



「これでよーくわかったでしょ!?」



「えっ…」



「あなたといるとジンはダメになる。」



“ズキッ…”



「さっ…佐田さん、そんな言い方ないよ!千秋ちゃんだって…」



「アンタがそばにいると、ろくなことがないって言ってるのよ!」



静まり返った廊下に響く佐田さんの怒鳴り声。



私は何も言い返すことができなかった―



「……もう、ここへも来ないでちょうだい。」



「……あの、私っ」




「もう二度と、ジンの前に現れないで!」



釘を刺すように鋭い眼差しでそう言い残し、佐田さんは病室へ入って行った。



立ち尽くしたままかける言葉を探すケンチャン。



「……気っ、気にする事ないよ。佐田さんも……混乱してるんだと思う。」



『ケン!話しがあるからあなたも来なさい!』



病室の入口から顔を出した佐田さんがそう叫んだ。



「あっうっす!」



ケンチャンは、力無くベンチに座る私に視線を合わせるように座り込む。



「とにかく、何か変化があったらすぐ連絡するから!今日は帰った方がいい……。」



その言葉に小さく頷いた。



「…気をしっかり持つんだよ?」



ケンチャンはそう言って急いで病室に入って行った。



“アンタがそばにいるとろくなことがないって言ってるのよ!”



佐田さんの強烈な一言が頭に響いてる―…



私は…



私たちは…



始めからこうなる運命だったの?



だとしたら、どうして私と仁は出会ったの…



こんな結末が待っているならいっそうの事……



出会わなければよかったよ。

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