キミのとなり。
彼につられてタクシーを降りると、その花屋で花束を買うことにした。



「何がいいかなぁ…。」



店内をチラチラと見て歩く桜井君。



その時、私の目にある花が目に入って来た。



ブルースターだ。



青くて星の形をしている事からその名前が付けられたとても可愛い花…。



「すいません、コレください。」



私は願をかけるようにそのブルースターの花束を手に持った……。



「綺麗な花やな。」



タクシーに乗り込むと、隣から桜井君がそう言った。


「ブルースターっていうの。」



「へー…始めて聞いた。」


「花言葉は、“信じ合う心”。」



「信じ合う……、へぇーピッタリやな。」



「花嫁さんが結婚式でサムシングブルーって言って何か青い物を身につけていると幸せになれるっていう伝説があってね、この花をブーケにする人が多いんだって。」



「へぇー詳しいなぁ!」



「ふふっ…」



さっきまでガチガチだった心がその青い花を見ていると自然と和んでいた。


しばらくしてタクシーは病院に到着――



相変わらず入口の前には、大勢の報道陣が集まっている。



静かにタクシーを降りると、ゴクッと唾を一飲みし立ち止まる。



「行こ。」



「…うん。」



桜井君に手を引っ張られて報道陣の輪に向かって歩きだした。



大丈夫…気付かれる訳ない。


顔だってばれてないんだから。



緊張した面持ちで、なんとか無事報道陣の間を通り抜けた。



ハァー…



怖かった…



ホッと胸を撫で下ろす。



長い長い廊下を歩いた。



佐田さん…来てるのかな。


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