キミのとなり。
「……マジでおるなぁ。」


廊下の曲がり角から、病室の前を覗き込む桜井君の後ろから少し顔を出す。



本当だ…ドアの前に体格のいい男がいる。



どうしよう…このまま行って会わせてもらえるわけないしっ。



だからって引き下がれないし…



強行突破!!……てなわけにも行きそうにないし。



「あのー…」



ビクッ!



その時、急に後ろから声をかけられた。



振り返ると、白衣を着た看護師さんだった。



「もしかして、ジンさんのファンの方?」



へっ…?



看護師さんは首を傾げて私たちの顔を覗き込む。



「あっ…えっとー…」



「そっそうなんっす!俺らジンの大ファンで!……ここに入院してるって聞いて来たんですけど。」



桜井君は咄嗟に笑顔でその看護師さんに応答した。



「申し訳ないんだけど、ここへ来ても会えないわよ?……ほら、見ての通りボーディーガードも見張ってるし…」


「あぁ、…はい。」



「それにしても、よくここの病院だってわかったわねぇ、極秘のはずなのに…」


ドキッ



「あっ…かっ勘で!!」



「え?」



カッカン…!?



また訳のわからない桜井君の嘘が出た。



「……じっ、ジンさんの様子はどうなんですか?」



「あぁ、あまり詳しいことは教えてあげられないんだけど……。」



「……ですよね。」



「でも大丈夫よ、意識はまだないけど…今の所、容態は安定しているし。」



看護師さんの笑顔にホッとした。


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