キミのとなり。

無愛想な奴

この部屋に引越してきて、初めての朝を迎えた。



開け放ったカーテンから見える景色がいつもと違うことで、この部屋に越してきたことを実感する。


私は出勤の為、身支度を済ませて早々と部屋を出た。



“ガチャッ”



カギをかけた時、ちょうど隣りの部屋から誰かが出て来たのが目に入った。



恐る恐る視線を向けると、それはまさに昨日の暴言男だった。



“げっ！”



っと、一瞬顔に出そうになったのをぐっと堪えて作り笑いをした。



「…っはようございます。」



そう目を合わさないようにあいさつをすると、男は腰履きデニムのポケットに突っ込んだ手を出そうともせず、そのまま無言で私の前を通り過ぎて行った。



なっ…何だあれ！感じわるぅ～！
朝からめちゃくちゃ気分悪い！


なんか気に障るようなことした！？


なんでああも人を不快にできるんだ！！


自分でも気づかない内に、ブツブツとそんな事をぼやきながら歩き続けて気づけば会社のロビーに着いていた。