キミのとなり。
相変わらず外から見えないようにカーテンで締め切られた薄暗い部屋…



私は花束を抱いたままゆっくり仁の顔を覗き込んだ。


「昨日も来たんだってね。」



「……うん。」



「やけに態度のデカイ男と一緒に来たって佐田さんが怒ってたよっ。」



「……あぁ、うん。」



“ピコンッピコン…”



薄暗い部屋に静かに響く心電図の音…



「いつ…起きるのかな。」


仁の寝顔を見ていると、ついついそう呟いていた。



「えっ?」



「このまま起きなかったらっ……」



涙で視界がぼやけ出す…



「……どうしようっ。」



静かな病室に私の泣き声が響いた。



「千秋ちゃん……。」



「……グスッ…ヒクッヒクッ…」



「大丈夫だって!」



ケンチャンは、私の肩をポンポンッと軽く叩いてそう言った。



「仁はそんな弱くないよ!きっと今だって俺達の話しちゃんと聞いてるんだよ、“泣いてんじゃねーっ”て怒られるよ!?」



精一杯笑ってくれるケンチャンの優しさが、少し心を楽にしてくれた。



悪い方に考えるのはよそう。


信じるって決めたんだから。



ギュッ…



「その花、可愛いね。」



ケンチャンは私が手に持っている花束を指差して言った。



「これ、ブルースターっていうの。」



「ブルースター?へぇー。青い花って珍しいよね」



「幸せが訪れるって言われてるの。……花言葉は、」


『信じ合う心』



「信じ合う……心か。」



私も信じるから。



仁が必ず元気になってもう一度唄ってくれる事……



そして、私を迎えにきてくれると



だから、仁も信じて。



まだ見ぬ未来を。



そこには必ず私が仁の隣にといると……



そして早く目を開けて……

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