キミのとなり。
二人っきりになった病室……



静まり返っている。



そっと仁の耳元に顔を近づける。



「…起きろぉ~!」



小さな声でそう呼んだ。



《あ?》



って……返ってきそうなのにな。



やっぱりだめか…。



一体どんな夢を見てるの?


私の夢?



ねぇ、いつ目覚めるの?



今度いつ……



抱きしめてくれるの?



心の中で、答えをくれない仁に必死にそう問い掛け続けた。



お昼になり、ケンチャンがある提案をしてきた。



「そろそろお昼だし、売店でなんか買ってこようか!」



「あっ…私が買ってくる!」



「え?」



「あんまりケンチャンはうろちょろしない方がいいでしょ?」



「えっ…あぁー。」



私がそう言うと、ケンチャンは照れ臭そうに頭を掻いて笑った。



私達は、誰もいない屋上でランチをする事になった。


さっき買ってきたサンドイッチをケンチャンに差し出す。



「おっ、サンキュー!」



11月の屋上は、風が吹くと少し肌寒く、だけどなんだか開放的で気持ちがよかった。



「そういえば、仕事辞めたんだってね。」



ケンチャンが沈黙を破ってそう聞いてきた。



「…えっ、あぁうん。」



「若菜ちゃんから聞いてビックリしたよ。まさか、辞めただなんて…結構長く勤めてたんだろ?」



「んー…5年だね。」



「5年かぁー…俺達より長いじゃん!」



「え?あぁ、そうだね!マイクロシティは確か3年だもんね。」



風が隣にいるケンチャンの茶色い髪を揺らす。




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