キミのとなり。
「《お願いがあります、ジンと彼女を認めてあげて下さい。私は心から二人の恋を応援しています。》


《芸能人というだけで、どうして恋をしちゃいけないんでしょうか?一途なジンの想い、素敵だと思います。どうか認めてあげてください。》……。」



ケンチャンは丁寧に手紙の内容を読み上げてゆく。



佐田さんはただ立ち尽くし困惑した顔で、ケンチャンの言葉を聞いていた。



「《純粋に誰か一人を愛し続けるジン…益々ファンになりました。二人を応援しています。》それからっ…」



「…もういいわっ!」



佐田さんはたまり兼ねたように大きな声でそう言った。



「他にも、マイクロシティのファンサイトや公式ホームページにたくさんの応援メッセージが寄せられてます。」



「……。」




「……もう、みんなとっくに二人の事を認めてるんですよ!……認めてないのは、」



『あなただけですよ、佐田さん。』



ケンチャンの低いトーンの声が響く―…


ケンチャンが私に見せたかった物って、これだったんだ。



たくさん寄せられたファンからの手紙……



私も仁もこの信じられない状況に顔を見合わせた。



「……俺からもお願いします。この二人の事、認めてやってください。」



そう言ってケンチャンは立ったまま、佐田さんに深く頭を下げてくれた。



「ケンチャン…」



「…お願いします。」



仁もまた、そう言って頭を下げる。



それに続くように私ももう一度、深く深く頭を下げた。



――静まり返る病室。



三人から頭を下げられ、言葉を失う佐田さん。



しばらく沈黙が流れた後、ゆっくり佐田さんが口を開いた。



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