キミのとなり。
――午後10時



会場の照明がゆっくり落とされた。



「はっ…始まるよ!」



自分が唄うわけでもないのに、何故か私の胸は高鳴り緊張は最高潮だった。



その時―



“プシューッ!”



ステージの前方から勢いよくスモークが舞い上がり、ステージ真ん中の大きなスクリーンに4人のシルエットが映し出された。




“キャーッ!!”



地響きがしそうなくらいの歓声が会場から沸き起こった次の瞬間、ステージの床が稼動して、下からゆっくりメンバーが姿を現した。



それと同時に曲が流れ出す。



そしてパッと照らされたライトの中に、仁がいた。



“ジーン!!おかえりー!!!”



“ジーン!!キャー!”



会場のあちこちから沸き起こるジンへの歓声。



それに答えるように、仁は会場全体を見渡しながら笑顔で手を振っている。



キラキラ輝く笑顔……



本当に、やっぱり仁には唄しかないんだって感じた。


ステージに立ってスポットライトを浴びている時、仁は最高の笑顔になる。



仁の生きる場所はここなんだって……



そんな事をここにいるみんながきっと感じていただろう。



イントロが終わり、マイクを握り仁が唄いだす。



あぁ、久しぶりの唄声…



スタンドマイクに掛ける逞しい手……



仁の体全体が、歌える事を喜んでる。



本当によかったね、仁。



最高にかっこいいよ!!




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