キミのとなり。
仁は、ステージ上からファンに向かって上に大きくガッツポーズをしてみせた。



“キャー!!”



そして私の頭をぐしゃぐしゃと撫でながら、ステージの後ろにある電光掲示板に目をやる。



私もつられて目を向ける。



そこには現在の時刻が映し出されている。



“23:59:50”



新しい年を迎えるまで後10秒―…



「よぉし、みんなでカウントダウンいくぞ~!!」



そう言って仁は片手を空にかざす。



会場のファンも一緒になって手を上げて声を揃える。


“5”



“4”



“3”



“2”



“1”



“ゼロォ!!”



《バァーンッ!!!》



その瞬間、会場の空に花火があがった。



“ワァ~!!!”



キラキラと夜空に咲く花火に誰もが目を奪われた。



「……やっとだな。」



「…えっ?」



みんなが花火を見上げている中で、仁は私と手を繋ぎ何か呟いた。



「……やっと手に入れた。」



“ドキュンッ…”



花火を見上げる仁の横顔が晴れ晴れしく光っていて、眩しかった。



繋いだ手をギュッと握り返す…



私も、今やっと実感したよ。



やっと……やっとだよね、本当。



長かったなぁーここまでが……。



ケンチャンがいつか言った通りだったよ。



“あの忌まわしい事故は、この先に起こるとっても素晴らしい事への通過点……”


だったんだね。



色々な苦難を乗り越えたから、今ものすごく幸せを噛み締めていられるんだ。



繋いだこの手をもう、



絶対離さない。



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