キミのとなり。
長い長い廊下を歩く。



すると、向こうから純白のドレスを着た花嫁さんが歩いてくるのが見えた。



清楚な雰囲気の花嫁…



わぁ…綺麗だな。



すれ違いながら目を奪われていると、係りの人が声をかけてきた。



「新婦様もきっとお綺麗になられるでしょうね。」



「えっ…」



わっ私?



ポッと顔を赤らめた。



係りの人の案内で新婦専用の控室に入る。



そこには、ヘアーメイクの担当の人や身の回りのお世話をしてくれる係りの人が3人程いた。



早速、大きな鏡の前に座ってメイクをしてもらう。



その傍らで、私のネイルを磨いてくれているお姉さん。


後ろでは今日着るドレスの手入れをしてくれている人もいる。



その光景を鏡越しに見ていると、今頃実感が沸いて来た。



朝はバタバタでそんな余裕すらなかったけど…



ついに私、お嫁に行くんだ……。



仁の奥さんになるんだ…



どんどん出来上がっていく自分の顔。



これからは恋人ではなく、夫婦になるんだな。



幸せだけど、なんだかちょっぴり切ないキモチ。



これってマリッジブルーかな?



そうこうしている内にメイクが仕上がり、頭もネイルも綺麗に整えてもらって、いよいよ念願のウェディングドレスを身に纏う瞬間がきた。



ずーっと夢だった純白のウェディングドレス…



今鏡の前でそれを着ているのが自分だなんて信じられない。



結構ずっしりと重いんだな…



「お綺麗ですとっても。」


「こんなに綺麗な花嫁さまは見たことないです!」



係りの人が口を揃えてそう言ってくれた。



営業トークだとわかっていながらも、そう言われて悪い気はしない…。



鏡の前でクルッとゆっくり一回転をしてみた。



ハァ~、お姫様気分…



仁は何て言うかな。



「馬子にも衣装だなっ…フンッ」ってなとこかな…。



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