キミのとなり。
「で……、その荷物は?」
「これ?鍋の材料。」
鍋??
「今夜はパーッと鍋パーティーしようぜ!」
二人は勝手に冷蔵庫に材料をしまい始める。
「……えっちょっと、本当にやんの!?」
「どうせ毎日一人寂しく食ってんだろ!そんなんじゃお前、女が廃るぞ!?」
ちょっとグサッ……
「あぁ!そうだぁ!」
何か物凄い事をひらめいたかの様に突然晶子がパンッと手を叩いた。
「どっ…どしたの?」
「お隣りさんも呼んじゃおうよ!」
えっ……
えぇぇー!!
「おぉ、それいいな!どうせ仁さんも一人だろうし。」
だろうしって、勝手に。
「あんたちょっと呼んできなさいよ!」
「よっしゃ、任せとけ!」
二人は勝手に盛り上がり始める。
あいつが来るはずないよ。
お願いしたって来ないよ!
夕方――
「連れて来たぞ~!」
ビックリした。
仁は本当にやってきた。
こういうの絶対苦手っぽいのに。
またまたかなり意外……。
仁は少し照れた様子で私の部屋に上がり、目が合うと少し俯き加減で、「よぉっ…」
とだけあいさつをして奥へ進んだ。
「いっ…いらっしゃい。」
部屋の奥では男が二人、懐かしい話しに花を咲かせている。
鍋の材料を切り分けながら晶子が話し出した。
「よかった……、思ったより元気そうで。」
「あぁ、ごめんねっ!心配かけて。」
晶子は優しくニッコリ笑って首を振った。
「でも……あの仁って人少し変わったと思わない?」
「…え?」
晶子は手を止めて仁を見つめながら言う。
「初めて会った時は、なんかこうっ…もっとトゲトゲした雰囲気だった。」
言われてみれば……。
「だけど今はなんか、トゲがなくなった感じ?」
あんまり近くにいすぎて気付かなかったけど…
確かに仁は変わった。
「なんでだろうねー。」
「……。」
なんでかな……。