キミのとなり。
『カンパーイ!』


本当にどのぐらいぶりだろ。



こんなに大勢でお鍋囲むのなんて。


一人暮しを初めてから一度もなかったなー。


無意識に正面で珍しく笑顔の漏れる仁を見ていた。


あんな笑顔するんだな……


晃はこの人の昔を知ってるんだよね。



ちょっと、聞いてみたいな…。



「よぉし、ネギ投入~。」



私がネギを手に取り、鍋の中に入れようとした時――



「あっこら待て!白菜からだろハクサイ!」


仁が文句をつけてきた。


「いいよ別に…食べれば一緒……っ」


「いくねーよ!白菜が先!」


そう言って私の入れたネギをご丁寧にさえ箸で取り出す。


「ちょっ…!!いいじゃん細かいこと言わないでよ。」



「うっせー!」



目の前で繰り広げられる私と仁のやりとりをポカ~ンと口を開けて見つめている晶子と晃。


しばらくして晃が口を開いた。


「つうか……お二人さん、いつから仲良しに!?」



『仲よくない!!』



声を合わせる私と仁。


晶子と晃は目が点だった。


そんな感じで(?)鍋パーティーは思った以上の盛り上がりを見せた。



ベロンベロンに酔っ払った晃を起こし晶子が言った。


「私達ぼちぼち行くわ!」


「えっ早くない?まだ8時だよ!?」


「ちょっと用事あって。」


酔った晃が目を擦りながらつぶやく。


「ふぇ?なんかあったっけかぁー?」


「いいから!ほら行くよ。」


晶子は晃をなんとか立たせ仁に軽く挨拶をして、そそくさと玄関へ向かった。


「もっとゆっくりしていけばいのに。」



私がそう言うと、晶子は私の耳元でコソっとこんな事を話した。



『お似合いだよ、あんた達。』


へっ……?


“バタンッ”


また意味深なウィンクを残して晶子は晃を連れて出ていった。


お似合い……


心臓が急にドキドキした。


後ろを振り返るのがなんだか色んな意味で怖い。






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