キミのとなり。
身体が拒絶反応を起こしているみたいにゾクッとした。


「元々、お互い嫌いで別れたわけじゃないしさ。」


“パチンッ!!”


気が付いたら、弘人の左頬を強く引っ叩いていた。


ジンジンする指先をグッと握りしめた。


「私も、今やっと気付いたよ。」


手を伸ばし開くボタンを押した。


ゆっくりドアが開いく。


力強い足取りでエレベーターを降りた。


そして振り向き様にこう吐き捨てた。


「別れて正解だった。」


閉まりかけたドアの向こうで、弘人はただ呆然と身動きすらしなかった。


こんな時でも、あいつの顔が浮かんでる。


いや……


こんな時だから


だよね、きっと。


仁……



仁に会いたい。


こんな時、仁はなんて言ってくれるかな。


会社の帰り、ライブハウスの前を通りかかった。


すっかりイルミネーションで彩られていて、いつもとはまた違った雰囲気が漂う。


あぁ……そういえばもうすぐクリスマスだなぁ。


マイクロシティのライブがない今夜は、いつもより会場周辺が静かだった。


ジンの人気の凄さを思い知らされる。


電車に乗っていると、前に座っていた女子高生達が何やら雑誌を広げて話しているのが聞こえた。


「このバンド超よくない?ヤバイよね。」


「なんだっけ……マイクロシティだっけ!」


「そうそう!この前ライブ見に行ったんだけど最高に良かった!」


『特にジンが!』


“ドキッ”


「カッコイイよね!唄もうまいし!絶対その内メジャーデビューしそうだよね。」


なんか、彼女でもないのに顔がニタニタしてしまう。


ただの隣人なのに……。


「でもさぁ~ジンって彼女いるじゃん?」


えっ……


「マジ?」


「そうそう!結構有名だよ!?」


「えーショックゥ~!」

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