キミのとなり。
「……ねぇ、バンドの事聞いたんだけど。」


私がそう切り出すと、仁はポケットに両手を入れて深く溜息をついた後、静かに口を開いた。


「二人抜ける事になったんだ。」


「えっ!?」


「これからやりたい事とか考えてる事が違ってて。」


「そんなっ……じゃーマイクロシティはどうなるの?!」


「昔一緒にバンドやってた奴が新しく一人加わって、四人でやってく事になりそうなんだ。」


「あっ…そっそうなんだ!よかった……解散かと思った。」


「クリスマス見に来いよ、新生マイクロシティで初ライブやるから。」


「うん!行く行く。」


また、仁の唄声が聞けるんだ。


そして、またしばらく沈黙が流れる。


一番聞きたかった事を思い切って切り出した。


「そういやさぁ!初めて会った時の事覚えてる?」


「あ…?」


「私が引っ越しの挨拶に行ったじゃん?」


「……あぁ。」


「あの時さ、すごい怒鳴って出て来たのはさ……」


恐る恐る仁の顔色を横目で伺う。


「誰に怒って……たの?」


仁の顔が急に曇りだし下を見たまま話さなくなった。


あぁ、私まだ完全に心開いてもらってないな……


そう思った時、仁が話し出した。


「女。」


“ズキッ”


やっぱり……。


「もう別れてたんだけど、誤りたいとか言い出して」


私は動揺を隠せなかった。


「俺も……」


ショックのあまり声もでない私に仁は話しを続けた。


「あんたと同じなんだ。」


私と…?


「浮気……された。」


「え!?」


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