キミのとなり。

「あぁ！？」


仁は私の手を引っ張って公園を出ようとした。


「おいコラっ待てよ！」


それで引き下がるわけないよね……。


“ガシッ！”


男は後ろから仁の肩を掴んだ。


「おいコラ！なめんなよ！」


「あぁ？」


鋭い目つきで睨み返す仁。


すると、もう一人の男が何かに気付いた様子だった。


「おっおい……」


「なんだよ！」


男はなにやらコソコソと耳打ちする。


すると、さっきまで仁を睨み付けていた男が急に目を丸くしてこっちを見ている。


そして慌てた様子で口を開いた。


「もっもしかして……甲谷仁…サンですか！？」


「だったらなんだよ。」


「しっ失礼しました！仁さんの彼女サンだとは知らなかったもので…すっすいませんでしたぁー！」


そう言って男たちは焦った様子で逃げていった。


「……。」


「礼ならいらないから。」


「お礼言われるような事してないじゃん！……ってかもっと早く助けてよ！」


「その勢いなら助けなくても自力でなんとかできたなかもな。」


ほんっとに皮肉ばっかり言うんだから。


でも……なんで男たちは逃げたんだ？


確か晶子が前に、仁は昔相当悪かったって言ってたな。


たぶん彼らは仁の昔を知っていて、それに気付いて逃げたんだろう。


ってか、どんだけ喧嘩強いんだよっ……