キミのとなり。
マンションまでのわずか1キロ程の距離を二人で歩いた。


「あっ……ライブよかったよ!」


「そうか?」


「あっ!」


「何。」


「実は私の後輩の子と一緒に行ったんだけど。」


「後輩?」


「うん、仁も一回あった事あるよ!猫を返しに行った時ちらっと……。」


「……あぁー、あの頭悪そうな女か。」


あっ頭悪そうって……。


なんでわかった?


「そっその子がね、ドラムのケンチャンの事えらく気に入っちゃって。」


「ケンを?」


「そう、で……今度一度会わせて欲しいって。」


「……。」


「無理?」


「別に……。」


「本当!?」


「時間があったらな。」


よかったぁ~若菜ちゃんに妬まれずに済むよ。


「あっそうだ。」


マンションの下についた時、突然仁が何か思い出したかのようにポケットに手を入れた。


「これ、やる。」


そう言って私に何か手渡してきた。


「えっ何?」


リボンのついた小さな箱。


私は首を傾げた。


すると仁は腕時計を確認した。


【午後11時55分】


「ギリギリセーフ。」


え??


え?!


え!?


「もしかして、クリスマスプレゼント!?」


「じゃーな。」


恥ずかしさを隠すように、さっさとエレベーターに乗って行ってしまった。


めっ…めちゃくちゃうれしいんだけど!!


何あいつ、こんなの用意してくれてたんだ。


震える手でそのプレゼントを握りしめた。


あいつ……


意外にロマンチスト!?


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