キミのとなり。
仁は私に気付き、軽く手を挙げて近づいて来た。


その横でニコニコかわいい笑顔のケンチャン。


「うっす。」


『こんばんは~!』


無愛想の仁とは対象的にかわいいスマイルであいさつをするケンチャン。


「あっこんっ…」


「こんばんは!!初めまして!若菜ですぅ。」


私の挨拶を遮るように、立ち上がり見た事ない笑顔であいさつする若菜ちゃん。


必死かっ!


挨拶もそこそこに済ませて楽しい食事会が始まった。


さっきからケンチャンに釘づけの若菜ちゃん。


だけどケンチャンも満更でもない様子でなんだかいい雰囲気の二人。


横を見ると仁は俯いて、ただ黙っている。


ったく、こんな時まで無愛想なんだから。


食事会が始まって1時間ぐらいした時だった。


仁がゆっくり立ち上がった。


「わりぃ……ぼちぼち帰るわ。」


「えぇ?」


「タマに餌やんないと。」


そう言って席を立った。


「……あっじゃっじゃあ、私も行くね!」


二人に気を遣って……というより、仁と居たくて私は後を追い掛けて店を出た。


「ねっ、ねぇ!」


早足の仁の後ろを息を切らしながら必死で追う。


「あんたも帰んの?」


「うっうん…。」


私は、仁の横について歩いた。


決して私の歩幅に合わせようとはしてくれない、そんなところも含めて愛しい。


仁はどう思ってるのかな私の事……。


このネックレスをくれたのは、少しは脈アリだと思ってもいいの?


勇気を出して仁の服の袖を掴んでみた。


“ギュッ…”


仁はビックリした様子で足を止めた。



「……えっ何。」


顔から火が出るぐらい身体全体が熱くなるのがわかった。


だけど夢中で掴んだ袖を離す事はできなかった。


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