キミのとなり。
“ピンポーン”


「あっきた!」


玄関を開けると、晶子と晃が飛び込んで来た。


『おっじゃましま~す!』


「はいこれ!お土産ね。」


そう言って晶子が手渡してくれたのは《生チョコケーキ》だった。


顔を見合わせる私と仁。



「あ……ありがとう。」



「ん?あ!もしかして、チョコ嫌い!?いちごのショートケーキの方がよかった?」



「……。」


「……俺、ケーキきらっ…」


「あぁぁあ!!!」


仁が言いかけた言葉を思わず遮る。


「……なんだよ。」


「ちょっ超~おいしそうだね!」


「そ?よかった。」


晶子が安心した様子で部屋の奥へ進んだ。


横にいる仁に睨みを利かす。


「……だから、なに。」


「ほんっと不器用!」


「あぁ!?」


そうこうしている間に、準備が整い、宴がスタートした。


『カンパーイ!』


「うっめぇ~。」


この前みんなでこうしてお鍋囲んだ時は、まだ私と仁はただの隣人だったんだよね。


付き合って約一週間、最近よく仁が笑ってくれるようになった。


笑顔が一番好きだな。


「でもさぁ~ビックリだよなぁ!千秋と仁さんが付き合ってるなんて~。」


唐突に晃が切り出した。


「でも仁さんも苦労しますよ~!」


“ギクッ”


晃は何を言い出すかわからないから怖い。


「何が?」


「千秋こう見えて超不器用だし~料理も下手だし。」


「あきら!!」


「それは今よくわかった。」


冷静に答える仁。


「おまけにすんげー嫉妬深いんっすから!」


「……。」


急に仁が黙り込んだ。


えっ何……引いてんの!?


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