赤い狼と黒い兎
「…2人共、いい加減気付けよ…」
「「へ?」」
呆れる亜稀羅に、間抜け面の加奈子と青夜。
『…さっさと教室案内しろ。それとも、あたしの遊び道具になってくれるの?加奈子、青夜?』
「さあ、矢嶋先生?もうすぐHRの時間ですよ」
「あらやだ。本当だわ。行きましょうか、有栖川さん」
くだらない茶番に何度目かの溜め息をつき、重たい腰を上げた。
「じゃー、俺も途中まで一緒行く」
『…亜稀羅、何階?』
「ん?俺は2階だよ」
『加奈子、あたし何階?』
「仮にも先生よ。馨ちゃんは3階」
『………。』
亜稀羅、1階下だ…。
『てかこの学校、どんな構造よ?』
「3階が2年の教室兼理事長室。2階が1年の教室兼職員室。1階が3年の教室兼保健室」
『先生はしょり過ぎ。まあなんとなくわかったけど』
「だいたいそんなもんよ」
「そうそう。ここ複雑なんだよ構造が」
『あっそ。』
亜稀羅は途中で下に行ってしまい、あたしと加奈子の2人だけになってしまった。
「不機嫌そうね」
『……別に』
「あ、そうそう」
軽くスルーしたね。気にしないけど。
「私のクラスに、朱雀の幹部たちがいるの」
『へぇ……』
「それも勢揃いよ。総長から幹部まで」
『ふぅん……』
「しかもイケメンなのよぉ〜!」
最後にハートが付きそうな勢いで言ってくる加奈子に、また溜め息をついた。
あたし、今日だけでどんだけ溜め息ついてんの。