赤い狼と黒い兎
仲良さげに話す2人に、青夜は制止をかけ智子さんは出て行った。
「腕は?」
『ん、安静にしてればすぐに治るって』
「そか。…馨、何があったんだ?」
青夜からパソコンを受け取り、テーブルに置いた。
「…あの、俺居ていい感じっすか…」
居心地の悪そうな顔をして、苦笑いする唯兎。
あたしは唯兎をじっと見て言った。
『居ていい。唯兎にも、知っといてもらいたいから』
「!…馨が、言うなら…」
「(珍しい事もあるもんだなぁ…)」
「(馨が自分から話すなんて…!)」
そんな2人の心中を知らず、あたしは嶽から送られて来たメールを開いた。
…これを見ただけでも殺意が芽生える。
『これ…見て』
「?」
3人にパソコンを渡し、あたしは腕が痛くないよう移動させた。
「何…コレ……」
「この子、moonのメンバーじゃねぇか……」
「………。」
感じ方は人それぞれだが、唯兎が無言なのに少し驚いた。
感情豊かな彼が、何も言わない…。
いや、言えない、が正しいのか……?
「信じられない。…馨、この子は?」
『病院。被害はmoonのメンバーだけじゃない。朱雀のメンバーも少しずつだが、攻められてる』
「……嘘だろ」
「……いつから」