赤い狼と黒い兎
『まだ詳しいことはわからない。…けどここ最近の事件だ』
遠からず、近からず、微妙なところだ。
嶽があのメールを送って来たのは間違いない。
理由も根拠も、すべてはあたしを絶望に陥れるため。
絶望なら一度味わってる。なんのためにそうさせたいのか、それは謎だが。
仲間をこれ以上傷付けさせるわけにはいかない。
「…要注意ね」
「…、馨。敢えて聞くが、これは…コレを送って来た奴は誰だ?」
青夜が怪訝そうな顔でそう聞いてきた。
『……嶽。恩獄寺 嶽』
「!…アイツ」
「嶽って…」
青夜は怒りを露にし、加奈子は意味がわからないといった顔をしていた。
「恩獄寺…嶽…?」
そっか、唯兎は嶽のこと知らないんだっけ。
『恩獄寺嶽。元朱雀5代目指揮隊長』
「!?…朱雀の、5代目?」
『そう。それから……瑠衣を殺した犯人』
唯兎の目が大きく見開かれ、あたしを捉えた。
「瑠衣さんを…殺した……?」
『今までムショに入ってたんだけどな…。どうも出所したらしい』
アイツがムショを出た時期と、下の奴等が襲われるようになったのがどうも被る。
…もう少し詳しく調べる必要があるが、計らったとしか言い様がない。