赤い狼と黒い兎

『みんな、嶽とは関係ない。だから何もしなくていい。…足手まといでしょ？』



関係ないと言えばないのだが、彼女たちにそんな事を言っても無駄だろうな。



「…馨になんて言われようと、絶対に一緒にいる」

「何があっても」

「馨が居ない生活はもう嫌だよ」



…って、言うと思った。



『……思った通り』



そう言ってクスクスと笑った。

みんなは不思議な顔をしてあたしを見る。



『足手まといなんて嘘だよ。…ただ、出来るなら傷付けたくないから』

「馨……」

「馨ちゃん大好きだｯ!!」



目をうるうるさせ抱き付いてくる麻友美。



「…じゃあ、いいの？」

『まぁ…関係なくもないしな。本音言えば、じっとしといてもらいたい』

「無理！馨ちゃんが頑張ってるのに私達が頑張らないワケないじゃん!!」

『…だから試したんじゃないか』



苦笑いし、麻友美を離すと亜稀羅から声がかかった。



「じゃあさ、馨」

『ん？』

「俺ら朱雀がmoonを守るよ」



その言葉に、あたしは目を見開いた。

まさか、亜稀羅が、そんな事言うなんて…思ってもみなかった…。



『あき……』

「…守りたいって、俺は思う。」



にこりとあたしに笑かけて、後ろを振り向く亜稀羅。