赤い狼と黒い兎
「お前らは?」
同意を取るように、メンバーに聞く。
…すごい展開になってきたなぁ…
「唯兎がいいなら」
「俺は別に構わない」
「ただ…向日葵が、ね」
どうやらみんな亜稀羅の意見には賛成らしい。
…そういえば、向日葵は女嫌いなんだっけ?
「ひまなら大丈夫だろ。馨がなんとかしてくれる」
『……は?』
亜稀羅はあたしを見るとにっこりと微笑み、「ね?」と言った。
いやいや、ね?じゃないよ。
何が、ね?なんだよ。あたしにどうしろと?
「ひまは馨に任せて、とりあえずオッケー出たからそういう事で!」
「ちょっと!本気!?」
亜稀羅にそう反論するのは、珍しく麻友美だった。
『麻友美』
「だって!瑠宇さんはこの事知らないんでしょ!?いくら亜稀羅が居るからって、勝手に動かしていいわけじゃないだろ!?」
必死に、そう訴えかける麻友美は、何かに怯えているように見えた。
『…麻友美』
「私は絶対に嫌だ!何も知らないのに、」
『麻友美』
「“守る”なんて簡単に口にされたって、あいつの前じゃ使い物にならなくなるんだ…」
これ以上ダメだ。
そう思ったあたしは麻友美の頬を叩いた。
保健室にはパン…と乾いた音が自棄に響く。
「…!」
「馨…!」