赤い狼と黒い兎
「あ〜、キミが向日葵くーん?かわいいねぇ、女の子みたい♪」
毎回違う女に、同じような言葉を言われて頭を撫でられる。
最初は純粋に「誰だろう」とか「いい人そうだな」とか思ってた。
けど、親父が居なくなると人が変わったみたいに俺に近付いてくる。
「向日葵くん、まだ小学生だっけ?学校でもモテモテでしょ〜〜」
笑いかけてくる笑顔は、いつも目だけ笑ってなくて。
獲物を狙うライオンみたいに、ギラギラしてた。
――香水臭くて、化粧がケバくて、やたら高い物買わせて挙げ句捨てる。
自分に利益が無くなったら、女たちは綺麗に捨ててった。
それでも親父は、懲りることなく違う女を見つけては家に連れ込んでヤりまくる。
そんな親父に、俺は呆れてた。
それが気に入らなくてか、次第に暴力を振るうようになった。