赤い狼と黒い兎


「お前…だんだんアイツに似てきたなァ」



そう言いながら殴ったり、蹴ったり、物投げたり…。

俺の体にケガは尽きなかった。

何故か、パッタリと家に女を連れて来なくなって喜んでたのも束の間。



「あれ…あ〜、あんたが向日葵か〜」



人を品定めするように上から下へと視線を写し、ニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべる。

……なんか、やばい。



「かっこいいねぇ、彼女とかいるの〜?あ、まだ小学生だっけ?中学、高校って楽しみだねぇ〜」



徐々に徐々に近寄って来る女を睨んだ。



「近寄んな」

「あら、怖いの?」



ニヤニヤと笑う女が気味悪くて、自分の部屋に入ろうとした。



「まぁまぁそんなツンケンしないで。お姉さんと遊びましょ?」



お姉さん?化け物の間違いだろ。

心の中でそう嘲笑い、手を振り払った。



「触んじゃねぇよ」

「…マセてるわねぇ。ま、いっか」



さっきより強く腕を捕まれ、そのまま投げ飛ばされた。

…いった、頭打った…

痛む頭を抑え、女を見れば未だにニヤニヤ笑っていて…



「!」



ドアのところには親父が立って、俺を見て…ニヤッと笑った。



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