赤い狼と黒い兎
「あらあら。遅い到着ねぇ?アンタたち」
女は小さく悲鳴をあげ、男は尊敬のような眼差しを向ける。
…は?意味わかんねーよ。
「まあ、来ねぇよりいいだろ?加奈子チャン♪」
「先生よ。…そうだけど、アンタら単位取れなくて進級出来なかったら知らないわよ?」
「大丈夫大丈夫!」
「俺らにゃ、郁と朔弥がいっから!」
金髪ヘアの子が言った言葉を冷静に訂正する加奈子。
その次に、赤髪の子がにかっと八重歯を見せて笑い、金髪で黒メッシュを入れてる子がイタズラな笑みを浮かべていた。
「あのねぇ?」
「今度は、知らねぇよ。」
「いい加減、自分でやったら?特に龍希とひま」
どうやら、赤髪の子が“龍希”といって金髪黒メッシュの子が“ひま”みたいだ。
…ひま?女の子?
顔、かわいいし…。他の子より背低いし…。あたしと同じくらいか、少し高いくらいかなぁ…。
「だから教えてくれよ!」
「教えてもいつも途中で断念するだろ、お前ら」
「郁!脳ミソ俺にくれ!!」
「無理だボケ!」
「じゃあ朔弥…!」
「無理だから。現実を見なよ、ひま」
…黒髪くんが“郁”で、黒髪にピンクメッシュが“朔弥”?
…じゃああの白に近い金髪くんは…何?
「てか、俺らばっか言って唯兎はどーなんだよ!」
“唯兎”と呼ばれた彼はのほほんとしていて、ドアに背を預けていた。
「俺?…俺ぁ、テスト1日前に詰め込みゃ問題ねぇ」
「…唯兎は特殊だからな。お前らとのデキが違う」
「「何だとッ!?」」