赤い狼と黒い兎
「「……。」」
『……はぁ』
まぁ、予想はしてた。でも…呑気過ぎだよなぁ…。
「おっ、お帰り!」
2人は呑気にトランプをやっている。
現在進行形で。
ふと、向日葵がトランプから目を離しあたしを見た。
「馨!?何で頬っぺに絆創膏してるの…」
「え!?」
それを聞いた唯兎も振り返り驚いた顔をした。
「…この短時間で何があった」
「呑気、だよなぁ…」
「なぁ…」
まぁ、何もないからいいんだけど…。
被害もないし。
『別に何も。深子たちと暴れたらちょっとね』
「ふぅん…?」
「馨でも暴れるんだ」
『アンタ、あたしを何だと思ってんの』
はぁ、と溜め息を吐いて「帰ろうか」と呟いた。
「そうだな」
「馨、」
向日葵に呼び止められて、振り向いた。
何故か向日葵はニンマリと笑っていて、微妙に悪感がした。