赤い狼と黒い兎
巻き込んでケガまでさせたのに、仲間だなんてね…。
『お人好しだな。死ぬかもしれないのに』
「馨を守って死ねるならそれも本望じゃないかな?」
にこっと笑い、あたしの手を握った。
――…いつの間にか、人の温もりに触れるのが怖くなった。
『…ふざけんな』
「本当だよ」
『やめて。……もうあたしのせいで死なせたくない』
「馨……」
『…ごめん、もう帰るね』
目尻を下げて笑い、やんわりと手を離した。
――ただただ、あたしは人間に怯えるだけ。
温もりが怖いだけ。
ただ、それだけのこと…―――
あたしは学校には戻らず、そのまま家に帰った。