赤い狼と黒い兎
馨の過去
「――…る、かおる」
『……』
「馨!おい馨、起きろ!!」
『うわっ!?』
布団から引き摺り出されるあたし。
誰だよ朝早くから…!!
「ランニング行くぞ馨!」
『……瑠衣兄』
あたしの目の前で爽やかな笑顔を浮かべているのは一番上の兄貴、瑠衣だった。
『…何故ですか、瑠衣兄さん』
「え、天気いいからだよ」
『んなもん知るかっ!1人で行って来い!!』
「いいじゃんか馨!亜稀羅も瑠宇も居ねぇんだって!」
『(アイツらぜってー逃げたな…!!)』
額に手を当て、溜め息を吐いた。
『わかった、わかったから離れろ…』
「さすが馨…!俺はそんな馨が大好きだぞ!!」
『俺は大っ嫌いだよ』
「またまた!」
………。