赤い狼と黒い兎
あたしは、朱雀と敵対しているチームにラチられた。
情報の早い朱雀はもうすでに総長である瑠宇に伝わっていた。
その時、嶽は不在だったらしいと後から瑠宇に聞いた。
「ドーモ、朱雀さん」
敵対するチームは、ヤクや大麻など普通にやっていて少しどころかかなり危険なチームだった。
あたしの不甲斐なさのせいで、ラチられてみんなに迷惑をかけた。
まだまだ弱いあたしは、抵抗する事さえも出来ずにされるがまま。
「てめぇ…」
「おっと、そんなに怒らないでくださいよ。この計画を企てたのはオレたちじゃないんですから」
ニヤニヤと苛立つような表情で、そう言った。
「…どういう事だ」
「アナタたちの身近に居るじゃないですかー!」
瑠宇たちはわかってないみたいだったけど、あたしは1つの推測を立てた。
もしかしたら嶽なんじゃないか、と。
ここ最近、倉庫にも顔を出さなかったし、様子も変だった。
でも、心のどこかで、違ってて欲しいと思う自分がいた。
「馨!」
「馨ちゃん…!」