赤い狼と黒い兎


「か…」

「馨!!!!」



うっせ…

くそ、これじゃ何も出来ねぇ…ッ

あたしが着ていた白いブラウスが、真っ赤に染まっていく。



「つっ…このくそ餓鬼…ッ」



頭を抱えながら起き上がる、嶽。

ダメだ、起き上がらなきゃ。

腕に力を籠め、起き上がる。

こんなフラフラな状態じゃ、いつ本気で殺られてもおかしくない。

もう殺られかけてっけど……。



『餓鬼餓鬼って…お前もバカの1つ覚えですか…』

「ナメやがって……ッ!!」

『うっせ…お前が悪いんだろ…』

「元を辿れば、悪いのはお前の兄貴だぜ?自業自得だろ。天罰だよ天罰!!」



グッと右手に力を籠め、思い切り嶽を殴った。

その反動で少しよろけてしまったが、なんとか持ちこたえた。



< 158 / 286 >

この作品をシェア

pagetop