赤い狼と黒い兎
「か…」
「馨!!!!」
うっせ…
くそ、これじゃ何も出来ねぇ…ッ
あたしが着ていた白いブラウスが、真っ赤に染まっていく。
「つっ…このくそ餓鬼…ッ」
頭を抱えながら起き上がる、嶽。
ダメだ、起き上がらなきゃ。
腕に力を籠め、起き上がる。
こんなフラフラな状態じゃ、いつ本気で殺られてもおかしくない。
もう殺られかけてっけど……。
『餓鬼餓鬼って…お前もバカの1つ覚えですか…』
「ナメやがって……ッ!!」
『うっせ…お前が悪いんだろ…』
「元を辿れば、悪いのはお前の兄貴だぜ?自業自得だろ。天罰だよ天罰!!」
グッと右手に力を籠め、思い切り嶽を殴った。
その反動で少しよろけてしまったが、なんとか持ちこたえた。