赤い狼と黒い兎


『バカですか、ほんと…』



息は上がり、もはや肩で息をしている状態。



『話、聞けってんだよ…このボケ……』

「てめ…ッ」

『女の1人や2人くらい、何だってんだ!…あたしに嶽の気持ちなんかわかんねーよ、くそが…っ』



視界が、霞む。

世界が、揺れる。



『けど、なぁ!…悪いのは、瑠衣ばっかじゃ…ねんだよ…』



立っているのも辛い。

気力だけで立ってるあたしはある意味すごいな…。



『瑠衣の気持ちも、ちょっとは…考えろ……!』



あたしは限界に達し、膝から崩れ落ちるようにして地面に倒れた。



「馨…!」

「…ハッ!死にかけてる奴に説教喰らうとはな」



ふっ、と嘲笑うようにしてあたしを見る嶽。



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