赤い狼と黒い兎
『瑠衣っ?瑠衣!』
「か…おる……?」
何で、何で何で何で!!!
『何であたしなんか庇ったの…!!』
「はは…なんかとか…言うな……」
ゆるりゆるりとあたしの頬を撫でる。
その雫が、瑠衣の頬を濡らす。
『瑠衣…っやだよ、死なないでよ……ッ』
「な…馨……」
嶽は放心状態で地面に尻餅をついていて、瑠宇は嶽の下っぱであろう人間を退かしてこっち来ていた。
『喋んないでよ…』
「最後、だよ…?」
『!、最後とか、言うなバカッ!!』
一生懸命止血してるのに、一向に止まる気配を見せない。
ドクドクと溢れる血。
その血はあたしの手を徐々に真っ赤に染め上げる。
「…いいから、聞け……」
『わかった…聞くよ…、死なないで生きたらいくらでも聞いてあげるから…ッ!』