赤い狼と黒い兎
お願いだから、喋んないでよ…っ
あたしの言葉に聞く耳持たない瑠衣は、ふっと笑みを作った。
「いいんだよ…これで……」
『いいわけないだろ、バカ!!死んだら許さないよ…!!』
「は、は…最後まで…こえーな…馨は……」
『だからっ!!最後とか…!!』
瑠衣の顔を見たら、すごく穏やかそうに笑っていた。
「…嶽、悪りぃな…」
「……」
「おれ…口下手で、はっきり…言えなくて…さ……」
やめてよやめて…!
本当に最後みたいに言わないでよ……!!
「ごめん…な……、ゴホッ、くっ」
『瑠衣…!』
「馨…」
「瑠衣!死ぬなよッ!!」
「…瑠宇、馨……ゴホ、ゴホッ!!」
やだ…血、止まんないよ…っ
止まってよ……!!
「今まで……ありがとな……」
「瑠衣!ふざけんなよっ…!」