赤い狼と黒い兎
瑠衣は口元に笑みを作ったまま、目を、閉じた―――…
『瑠衣?…うそ、ねぇ瑠衣…!』
「る、い……っ」
目を開けてよ、瑠衣…
こんな死に方…やだよ…ッ!
『瑠衣…っ、お願いだから、あたしの…一生のお願いだから……ッ!!!』
ボタボタと、重力に従って落ちるあたしの涙。
ねぇ瑠衣、起きて…
いつもみたいに「冗談だよ」って言って笑ってよ…
今だったら、泣いてても笑い飛ばしてあげるから……っ
だから……ッ
『目を、開けてよ……!瑠衣…っ!!!』
瑠衣の手は、あたしの手をするりと抜けて地面に落ちた。
もう、温もりもない、冷たいカラダ。
『いや……いやあああああああ!!!!』